はじめに-1(科学者になるまで)

最初なので、少々自己紹介を。 

私は現在、神学校というところで牧師になるための勉強をしています。神学校に入る前は、生物学の研究者でした。

高校生の頃、生物の授業でならったDNAの働きがあまりに精緻なことに感動して、科学者を目指すようになりました。生物に限らず、物理も化学も地学もみんな好きでした。科学は、この世界を記述し、説明する学問なのだと思い、これを一生の仕事にしたいと思いました。

何を専門にしようか、いろいろな分野に目移りして迷いましたが、大学に入って専門課程に進む時、地球の歴史を勉強したいと思いました。地球ができたのは今からだいたい45億年前のことですが、45億年という時間は途方もない長さで、想像するのは難しいことでした。100年の100倍が1万年。さらに100倍が100万年。そのまた100倍が1億年、それをさらに45倍して、ようやく45億年です。

100年ぐらいの長さはまあ、想像できます。ひょっとすると自分もそのぐらい生きることができるかもしれない。でも、100年を100回繰り返した1万年となると、どれだけの長さかだいぶ怪しくなってきます。だいぶ怪しい1万年の、さらに100倍の100倍、なんてとても想像できません。45億年という時間は、私にとっては紙に書いた数字としてしか捉えられない、イメージすることもままならない大きさでした。

そんな人間の想像を超えたスケールに、心惹かれました。自分の頭では想像しきれない大きさを理解したい。その中では人間の存在なんてほんの一瞬で消え去る小さな点に過ぎない、大きな世界を理解したい。そんな動機で地球の歴史を扱う地学分野に進み、中でも特に生物の歴史を扱う古生物学を選びました。

地球上で生きる生物の歴史は、それは面白いものでした。現在の地球にはさまざまな生き物がいますが、できたばかりの地球には生命は存在せず、最初の生命はおおよそ38億年前に誕生したと考えられています。

38億年前に生まれたほんの小さな生命が、現在いるすべての生き物の祖先です。私たち人間も、猫も鳥も恐竜もカエルもメダカも、ナマコもミミズもセミもイソギンチャクも、ヒノキもタンポポもコケもワカメも、キノコもアメーバも大腸菌も、みんな同じ祖先から生まれた生き物です。親から子が生まれ、その子からまた子が生まれ、またまた子が生まれ・・・ということを数えきれないほど繰り返している内に、ちょっとずつ変化していって、たくさんの種類の生き物になりました。

その過程は「進化」と呼ばれますが、これもまた、私の頭では想像しきれない、不思議で壮大な現象でした。私はこの「進化」がどんなふうに起こったのかを理解したいと思うようになりました。

そんなわけで大学院に進み、途中いろいろあったものの念願の研究者になることができました。その間に研究分野は少しずつ変わっていきました。最初は化石を扱う古生物学を選んだこともあって、絶滅した生き物や、今生きている(現生と言います)生き物の形が研究対象でしたが、そのうち、生き物が卵から生まれて大人になるまでの成長過程や、生き物の体づくりに必要な情報を担うDNAも扱うようになりました。

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